Wayne Coyne (The Flaming Lips)

Great Googamooga Festival

Photo: ERINA UEMURA

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*デイビット・フリッドマンをプロデューサーに迎えての13枚目のアルバムとなる「The Terror」,アルバム制作にあたっての秘話はありますか?

Wanyn (以下 W)まぁ、「制作秘話」かどうかは分からないんだけど、人ってこんな不思議な出来事や変化を物語に仕立てたいと思うかもしれないけど、実際僕らは沢山の音楽をレコーディングしているだけなんだよ。作曲を始める時にどうなるか分からないけどただ作り始めるんだ。作ってみて、「あ、これいいね」って思ったらまた作ってみて、「これもいい」ってね。秘話なんてないんだよ。

よくみんなが思うのは実際に体験したからそれに基づいて曲を作ってるんじゃないかって事なんだけど、音楽やアートなんかは存在意識から生まれるのものなんだ。体験から曲を作るってなんか思い上がる事だろう?それに良い物は生まれないと思う。自分がついてるって思ってるなら曲の意味が分からないまま意識化での強い感情に指図されて、夢遊病のように作るんだ。その「体験から作曲へ」の通説は大体、恋愛関係とか女をファックしたい男が彼女に歌を歌いたい時とかには本当の事だろうけど。(爆笑)エゴとはそういうもんだからね。

でも僕らの曲はそれとは違う。必ずしも意味は分からないけど、僕らの曲はよく分からないことや掴めることが出来ないことに関して書いてあるんだ。曖昧な、抽象的なところがある。それは人生のように不安やミステリーがあるから人が惹き付けられるんだと思う。

*The Terror」のプレスリリースに「恐怖というのは、愛がなくても人生が続く…僕らはただ生き続く…安楽死がない。今、僕らにはそれが分かる」とありますが、これはあなたの言葉ですか?

Wうん、そう、とんでもないこと言ったんだけど、小さな真実のように恐ろしいものとは思わない。アーティストと作詞は時々こんな(少し歌っている)「愛がないと何もない」って感じを表すのさ。それが真実だと希望するんだ。若い時代には愛がなければただ死んで消えてしまうって切望する。愛のない人生を生きるより(死んだ方が)ずっときつくないからね。ジレンマだよね。誰かが言った、人は生きれば生きるほど、また命や人・物・体験に愛着を持てば持つほど死が恐ろしくなるって。

 愛する人や動物がいない人、また命やこんな美しい日にたいしてを愛着を持てない人は死ぬ時にあまり失わない。でも人生に情熱を持つ人のジレンマは、本当に大好きなものがないと本当に辛い。僕はいつもそれについて歌ってるんだ。強い、強くて深い愛情を感じる可能性があれば、痛みも伴っている。でもそれも大丈夫だ。愛が痛みを消す力を持っているようによく歌ってるんだけど、そのことについてもっと理解できるになると愛も痛みも一緒にあるって分かるようになるんだ。

*では、その恐怖はよくなりましたか?

W「恐怖」って言ったんだけど、何も出来なくなってしまうほどの恐怖なんてないんだ。僕らは今一ヶ月間ぐらい色んなことをやりながらツアーをしていて、メンバーの皆は時々少し風邪をひくんだ。一番いい病気なのはベッドから動けないほど重い病気にかかること。だって一週間ベッドの上で何もしなくていいから。でも一番最悪な病いっていうのは気分が悪くてもまだやらなきゃいけないことが沢山ある時だろう。大丈夫じゃないけど平気のなふりして前に進まなくちゃいけない時は、それが僕にとって本当に苦しい病気だよ。

それは僕が思う「恐怖」というのと同じだ。僕の日常はもっと幸せになるように生きていくけど、まだ分からない何かがもっと大きくなっていっている。今の愛情とか、生き方とか、この世界は自分に対してうまくいかないかも知れないから。とにかくそういう「恐怖」だ。精神科医受診に行くほど悪くはないけど、毎日の問題だと思う。意識化でやりたい事と頭でやりたいって思ってる事がぴったり合っている時には、その「恐怖」にあまり気づかず楽しくいれるんだけど、合ってない場合には時々どっちを選んだ方がいいか分からなくなってしまう。。。

だから「The Terror」の歌詞で「コントロール(脳のシステム)をコントロールしない」って歌ってるんだ。人間のDNAから引き継ぐ個人の色々の特徴は両親からの遺伝や彼らの欲望も入っている。自分が知らない特徴や欲望も。人によって他人がその人を見て分かるDNAもある。父に似てるとか、母と同じ目があるとか。とにかく、それらはコントロール出来ない。僕の人生の中でも、僕のことをよく知ったら、「君はわざとそれをやっている訳じゃない。ただ君はそういうタイプの人間なんだ」って言うことがあるはずだ。それいいねって思う人もいるかも知れないけど、嫌だなって気持ちも出るかも知れない。DNAについての話しはいつも堂々巡りするんだ。「これは僕の一部、」「その特徴は嫌いだから(自分を)変えよう」って決めるけど、本当には分からないんだよね。僕はもう52歳だから、最近よくこういう事について考えるんだ。考えたらすでに形が決まった、でもそこから新しい形に変えるか、もしくは終わり(死)まで同じ形で続けるしかないかは分からない。

ある男は髪の毛が少なくなるとか、何か不運に遭う。その事を若い頃に予知出来てたら切り抜けることができる。でもまた別の出来事がある。そしてそれらが積み重なる。結局よく分からないんだよ。分かる訳がないと思うよ。ラッキーだったら積み重なる欲望とかを理解して自分の破壊にならないようにコントロールできるんだけど…結局のところ分からないね。

だから「恐怖」だと思う、自分の中で本当にコントロール出来ない怖い機械があって、その機械は人を自殺に走らせる力を持つんだ。分かるかな?音楽はそれを回避するために存在しているんだと思う。音楽の一番いい時は「同じ気持ちを感じている、あなたの言っている事が分かっている」って言っている時だろう。憂鬱に落ち入る時に分かり合える人がいるって事を知りたいんだと思う。ほら、よくあるのは悲しくて混乱する時に凄く幸せな人とはあまり話したくないだろう?その悲しみを分かってくれる人と話したいんだ。「分かってる、分かってる、次の日までどうやって通り抜けよう?僕も知らないけど、やってみよう!」ってね。

音楽は一番いい時にそういうこと可能にすると思う。まぁ、スポーツの試合とかのための音楽もあるけど。もちろんその場合には音楽がなくてもいい場合もあるよね。

*(存在)意識下から出てくると言いましたが、その意識下からの音楽はスポーツのための音楽よりもっと意味を持っていると言えると?

Wまぁ、曲を書きながら何かの魅力あるパートが出来る。例えば、僕らの「Yeah Yeah Yeah」という曲は、Stephenはその「Yeah yeah yeah yeah yeah yeah yeah yeah」ってメロディーを考えてからそのパートに合ったバイブを作り出す。それは存在意識の中にあったものだと思うんだ。僕らは楽観的で遊び心もある。たまに僕らは音楽を聴いて、真面目にバカな曲を作ってるただのオヤジ達じゃないかって思ってしまうけど。でもそんなオヤジ達が作る音楽を好きになる人がいる。それって意識して好きになるんじゃなくて、存在意識の中で好きになってしまっているんだ。好きな食べ物とかみたいにね。ある日に突然「タイ料理は食べた事がないけど、一番好きな料理になるはずだ」って決める人なんていない。それは誰も出来ないんだ、ただ出来るのはその分からない所に入ってくる体験から選ぶだけなんだ。それが合っていた場合には「あ、分かる!」って感じる。でもそれは事前に決めることじゃないんだ。

要するにいちばん人を満足させる音楽はその分からない魅力を追いかけながら作られている音楽なんだ。芸術全体がそれにあたると思う。その魅力を追いかけられるんだ。でも人間ってさ、本来は自分勝手で身勝手なものだからその魅力や欲望がたまに最低で不穏で哀れな方向へ行ってしまうんだと思う。人に完全な自由を与えたら、いつもポルノに行くんだ。でも利他的な行動のときも行くと思う。何か出来ると思うようになるから。完全な自由ならいいことも悪いことも極限まで広がる。

僕の人生はバンドとしてもっと成功して好きなことが出来るようになって、自分がやりたいことを勝手にやってるだけって気づいている。そして、「あいつを殺そうか、知性と力が十分あるから殺してみよう」いや、いや、なんてこと、僕は絶対にやらない。ま、でも本当は分からないね。頭の中の自分ではわからない所では。…だって人はよく他人を殺しているだろう?(頭の中で)

*「The Terror」のアートワークを手がけたのは?

W僕。だいたいのアルバムは僕がやってる。

*今回のアートワークから孤独を感じるのだけど。

Wそうだね。公園での写真なんだ。もちろんアートワークで使われているのは修正されいている。でも写真を撮った時に僕らはすでにこのアルバム用に一曲完成してて、なおかつこのアルバムをどういうアルバムにするか考え始めたときだったんだ。去年の2月だと思うけど、公園を歩いてて撮ったんだ。会ったことのない少年だったけど、写真を撮ったら彼が近づいて来た。このアートワークでは彼が本を読んでいるように写ってるけど、彼はLSDをやって絵を描いていた。とてもサイケデリックな絵を5枚ね。絵は結構好きだったけど、変な子だったなー。それ以来彼には何回も会ったよ。街の色んな場所で偶然に会って、それで彼の写真をアルバムのアートワークとして使うことを彼に伝えたんだ。ま、誰が写っているか分からないけど、彼は自分だって知っている。

(彼の写真を使った事に)後悔なんてないさ。ただ少し変な子なだけなんだけど。撮影した時は彼のこと全然知らなかった。ただその景観が好きだったんだ。でも僕にも写真からその孤独を感じるんだ。なぜか分からないけど。。。平穏の場面だったのに、実はほんとうは怖くてどうしようもない爆発しそうな何かを隠しているように感じたんだ。そう感じたからアートワークに使った。そう決めたときはアルバムの曲は殆ど書いていなかったのに、何かの気持ちを感じとったから、それに対しての曲を作りたかった。”よし曲を作ろう”って強く思った。見えない所から色んな欲望を感じ取って少しずつアートや曲を作るんだ。暗闇の中で感じるんだ。

*あなたが作りたかったものが上手く一致したことを見つけたんですね。そしてすばらしいアルバムが完成したと。

Wうん、合わない時は分かるんだ。他の事はなぜよく合うか分からないけど、「これいいね、これもいいね」って思いながら他のオプションを捨てるんだ。すごく素晴らしいと思う。本当に感じている気持ちを表すアルバムが出来て。他の人も同じように思ってると感じるんだ。僕たちは皆と同じように分かり合いたいと思ってるんだ。音楽を作る人がいない世界なんて想像出来ない。自分の曲を作って世に出すことは幸せなことだと思うけど、一番しあわせなことは音楽を聴く事なんだ。

*シングル「You Lust」でPhantogramのSarahと共演していますが、彼女とは去年のツアーでも一緒にステージに立っていますね。

W今日も僕と一緒に戦かって(ステージに立って)くれるように頼んでるんだ。彼女はブルックリンに住んでいるから。SXSWフェスのステージで彼女の髪の毛を凄く引っ張ったんだ。…出来れば今日もやるよ。

*そのサラとも共演しているミュージックビデオ「You Lust」はどういうコンセプトの元に製作されましたか?

W最初のアイディアで僕とサラは電極を付けられて、歌いながら他の部屋にいきミステリアスな人達が僕らを感電させる というものを考えた。まあ、そのときは実際にどうなるかはっきり分からなかった。あやふやなアイディアだったから。

ある金曜日に撮影するつもりだったけど、水曜日に彼女と話して、スケジュールが変わったから来られなかった。一緒に撮影出来ないからロサンゼルスにいる彼女を撮影をそこで撮影して、別の場所で僕のシーンを撮ってから彼女のシーンを合成するように編集したんだ。実際は彼女はいなかったけど同じ部屋にいるように撮った。最後のコンセプトは、サラと僕は精神的なセックス交換をする未来的な場所に行くってこと。明確に伝わらないかもしれないけど、僕には分かってる。

*今回のツアーでは壮大な宇宙をイメージするステージセットですね。それに赤ちゃんの人形を抱いているのがさらに不思議な空間を創っているというか。

Wそうだね、ミミズに見える何本もの線や大きな球体がいっぱいあるんだ。赤ん坊の人形に関して言うとはっきりとした意味などないんだ。ただ、観客にショック受けることは殆ど残っていないから、本当に生きている赤ちゃんを抱きながら歌ってる変なやつに思われるようにやった。もちろん人形なんだけどショウに来ている人達は本当の赤ちゃんだと思っている。たぶんね。ま、よく考えていない。

Justin VernonとBon Iverと一緒に作ったビデオにはジョージ (*George Salisbury = フレイミングリップスのミュージックビデオディレクター)の赤ちゃんを抱いているんだ。本当に生きている赤ちゃんを。ただいつも同じステージに立って歌うのがちょっと飽きて来たから、そのコンセプトをもう少しやってみたかったんだ。時々歌いながら何かやることか持つ物とかがあればいいなって思うけど。

*レーザーハンドを盗難に遭ったのですか?

Wうん。でもレーザーハンドは今回ツアーには使わないんだ。まだ持っているけど。実は戻って来たんだよ。お正月にやったオーストラリアでの最後のライブでステージから盗まれたんだ。僕が思うに犯人はドラッグをやってた優しい変わり者達だったと思う。人生ってものを時々映画のように思った方がいい。「Bill and Ted's Excellent Adventure」とかみたいにね。もしBill and Tedの世界にいたら、「ほら、Wayneさんのレーザーハンドを盗って夜中に遊んでから朝にまた返そう!」って言うだろうね。でもさ、そのレーザーハンドはそんな簡単に使えないんだ。色んな機械があって、電力も必要だ。ステージで簡単に僕が使ってるように見えるんだけど、トリックなんだよ。入念な準備が必要なんだ。それを盗んだからすぐ自由に使えないんだよ。ステージから盗んだ彼らはテントに戻ってからそのことに気づいたんだろうね。とにかく、次の日に誰かがそのテントからレーザーを見つけてくれて僕らに返してくれたんだ。

*SXSWでプレミア上映された映画「A Year in the Life of Wayne's Phone」について聞かせてください。あなた自身がiPhoneで撮影した映像を編集したものですか?

Wうん、そうそう。

*その映画の中でMGMTのAndrew VanWyngardenやTame ImpalaのKevin Parkerとのセッションしている映像が垣間みれますが、実際に彼らとのコラボの予定はありますか?

WTame ImpalaのKevinならHeady Fwends (*フレイミング・リップスが2012年のレコードストアデイに発売した色んなアーティストとのコラボレーションした曲を収録したアルバム) プロジェクトでコラボしたんだ。このアルバムで本当はMGMTともコラボしたかったんだ。彼らもFridmann (*Dadiv Fridmann = フレイミング・リップス、MGMTのプロデューサーで、Tame Impalaの編集も手がけている)とアルバム作っているからね。でもまだ実現してないね。そのiPhoneでの映像はMGMTのショウの楽屋で撮ったんだ。彼らは何かをやってて、僕が入ったら一緒にその「Old man river, he must know something」って歌詞の曲を少し歌ったんだ。最初は彼らと普通に話していたけど、そのうち歌い始めたからフィルムに収めなきゃって思った。笑

*あなたのネイルを手がけているのは誰?

WこれはKatyさんがやってくれた。凄く上手で細かいデザインをするんだ。彼女はサロンではやってないけど、5月の小さな美術フェステバルでネイルをやるみたいだよ。

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